☆聖書箇所 ローマ人への手紙15章4〜6節
4かつて書かれたものはすべて、私たちを教えるために書かれました。それは、聖書が与える忍耐と励ましによって、私たちが希望を持ち続けるためです。 5どうか、忍耐と励ましの神があなたがたに、キリスト・イエスにふさわしく、互いに同じ思いを抱かせてくださいますように。 6そうして、あなたがたが心を一つにし、声を合わせて、私たちの主イエス・キリストの父である神をほめたたえますように。
☆説教 アドベントW:忍耐と励ましの神
今朝はローマ人への手紙の15章4節〜6節を開きました。 私はこの4節、5節の御言葉が大好きで、19年のアドベントにも開いています。 メッセージの内容はちょっと違いますけれども、4節に――
<ローマ15:4〜5> 4かつて書かれたものはすべて、私たちを教えるために書かれました。(***神の御言葉ですね、と説明)それは、聖書が与える忍耐と励ましによって、私たちが希望を持ち続けるためです。 5どうか、忍耐と励ましの神があなたがたに、キリスト・イエスにふさわしく、互いに同じ思いを抱かせてくださいますように。
御言葉が私たちに忍耐と励ましをくださる。 そしてここで神は「忍耐と励ましの神」という風に表現されています。 私たちが希望を持ち続けるために。
申し上げましたように、25日がクリスマス礼拝で、次の聖日が元旦礼拝ですので、今年は年末礼拝がございません。 ですから、年を越えていく、ということも考えて、この「希望を持ち続ける」ことを、今日は一緒にクリスマスの出来事と重ねて考えてみたいと思います。
アドベント第2週で、ザカリヤに現れた神の使い・ガブリエルの話をいたしました。 ザカリヤが祭壇で香をたいている時に、その傍らに立っていきなり言います。(***ルカ1:11) 「恐れることはありません、ザカリヤ。あなたの願いが聞き入れられたのです」(13)と。 そうして天使ガブリエルが引用した言葉が、旧約聖書の最後の書マラキ書の一部でありました。 旧約聖書最後の書、マラキの最後の部分というのは、 <マラキ4:5> 5 見よ。わたしは、【主】の大いなる恐るべき日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす。
すなわち旧約聖書の一番最後は、 「やがてメシアがこの世に来る。人々の心を神の国にふさわしく整えるために、メシアの前に預言者エリヤが来る。」 実はそれがあなたがた夫婦に生まれる息子だ、ということで、ザカリヤとエリサベツの間に男の子が生まれ、バプテスマのヨハネと呼ばれるようになります。
《救い主がやって来て、そしてこの世界に神の国が実現する》 これは旧約聖書後半の様々な書物に預言されています。 イザヤ書、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル、ゼカリヤ、その他旧約聖書の39巻には入らなかったユダヤ教の文書に、 「救い主がやって来る」ということは様々に預言されています。 人々は待ち続けました。それが本当に実現しようとしている時に、 ザカリヤは、あまりにも自分とかけ離れた話で、信じることができませんでした。 しかし彼が信じようと信じまいが、彼の信仰の質とは関係なく、《神の圧倒的な介入》が始まる――それがクリスマスだということをお話ししました。
そして神は覚えておられる――先週は『ザカリヤの賛歌』を見ていただき、(ルカ)1章の72節、「主はご自分の聖なる契約を覚えておられた」という話をしました。
ルカの福音書――ロマ書をそのまんまにしておいていただいて――ルカの福音書をちょっと映しますね。
1)ルカ2章に、やがて幼子イエスを連れて、ヨセフとマリアが神殿に行った時に、シメオンという祭司が幼子イエスを腕に抱き、言います。
【画面:ルカ2章29節「おことばどおり〜去らせてくださいます」に黄色のハイライト。30節「私の目があなたの御救いを見た」にグレーのハイライト】
<ルカ2:29〜30>(※こちらは『シメオンの賛歌』) 29「主よ。今こそあなたは、おことばどおり、しもべを安らかに去らせてくださいます。 30私の目があなたの御救いを見たからです。
とこう書いてありますね。 「私の目があなたの御救いを見た」というのは、まさにイエス・キリストのことでありました。 つまり《メシアがやって来た》ということを確認して、《自分の長〜い間の希望、それが叶った》ということを確認してシメオンは、 「今こそ安らかに、私を去らせてください」と言うことができました。
「このおことばどおり、しもべを安らかに去らせてください」という言葉のように、 おことばどおり、《旧約聖書の預言が成就した》という実感ですね。 そのように実感したということ――それはシメオンも、或いは当時の人々も、メシアの到来をどれ程待ち望んでいたかということの現れですね。 一言で言うと、救いをどれほど待ち望んでいたのか? もう少し簡単に言うと、《旧約聖書の民は、待ち望む民であった》ということ。 そして《私たちもまた、待ち望む民、希望を持ち続ける民である》ということを今日は一緒に考えていただきたいと思います。
旧約聖書の民は、バビロンの侵攻によって散らされ、ペルシャの帝国によって支配され、ギリシャ、ローマ帝国と、様々な時代約500年通過していきますけれども、 しかしそういう中でも、《やがて神は私たちを憐れんで救い主を遣わしてくださる、ということを待ち望み続けた民》でありました。 私たちの人生から考えますと、500年はあまりにも長いですし、 時に私たちの望みというものは、もっと小さなものかもしれません。もっと個人的なものかもしれません。 しかし、《私たち自身が待ち望む民である》ということを忘れないようにしたいと思います。
ローマ人への手紙の15章に戻っていただいて――パウロは信じていました。 キリストは十字架と復活をもって、大いなる救いと神の国を切り開かれたのです。それは始まりました。 でもそれだけではありませんでした。キリストはそのまま、復活の後に天に上り、神の右に着座されました。 《神の右に着座された》というのは、キリストは今この時も支配の座についておられるということです。 《今もこの世界は、キリストの支配の中にある》ということです。
しかしながらこの世界には、悪の働きもあり、私たちの弱さもあり、被造物ばかりではなく、神の子どもでさえ、この世界にあってうめいているのが現実です。 《やがて天に昇られたキリストが、再びこの世界に来られる――これを再臨と言いますけれども――その時に神の国は完成する》それを待ち望んでいたのがパウロであります。
2)でも待ち望んでいると同時に、天に昇られた神は、私たちをこの世界に遣わし、神の国の宣教のために、今日も用いておられる。
《キリストの救いにあずかった者たちは、この混沌とした世界に遣わされて、愛と癒しと平安を与えるために生きている》――それが《希望を持ち続ける民の姿勢》ですね。
先週、とっても嬉しいメールを二ついただきました。 今日その一つを紹介して、来週もう一つを許可をいただきましたら、紹介いたします。 匿名にいたしますね。 その方のメールをそのまんま、少しぼやかして読んでいきます。
――読み始め―― 今日、今年最後の某学校での料理教室でした。 たった4人の生徒ですが、神さまが連れて来てくれた愛しい一人一人です。 手や心に何か問題を抱えている子どもたちもいますが、美味しいものを一緒に食べると、いつも笑顔が溢れます。 たった二時間で作って食べて片付けるので大忙しですが、幸せな時間です。 今日はパエリアとアイスクリームでした。 苦しい日々の中に神さまが備えてくださった恵みです。 感謝で涙が溢れます。 ――ここまで――
という短いメールなんですね。 某ミッションスクールの料理教室にボランティアでいらっしゃっている方なんですけれども、来た生徒は、ま、4人だけだったと。 でもその4人は、何かを楽しみにこの料理教室に来るんですよね。 もしかしたら、普通の教室にはフィットしない子なのかも知れないし、もしかしたら自分なりの悩みを抱えているのかもしれないけれども、 この方のもとに行って、一緒に料理を作って食べると、とっても幸せになる。笑顔に満ちている。 それは小さなボランティアの仕事ではない。 それはその方が、《キリストが支配している神の国へ遣わされているキリストの使者として、愛と慰めと平安を与えるために遣わされている》。
今はまだ苦しい状況かもしれない。ロシアがウクライナに侵攻したのが2月です。 そろそろ1年を迎えようとしていますが、プーチンは言いましたよね。 「クリスマスも年末年始も休戦はない」と。 ギリシャ正教を信じて十字を切る彼に、どうしてそんなことが言えるんだろうか?と私たちは不思議に思いますよ(笑)。 それほど矛盾に満ちているこの世界でありますけれども、 小さなボランティアの方々が――私たちの教会で言うとHMさんがそうですね――ウクライナの方と繋がって、 何とか助けるために、また祈り続けるために、平和が訪れることを待ち望み続けるために、希望を失わないために、 私たちはそのデザインされた絵や、ペンダントやTシャツを着て、祈り続けるというのが今年のテーマであったではないですか。 《希望を持ち続ける》――《この世に遣わされた、神の国の子どもたちの姿》ですね。
この料理教室の先生も、自分のことを「自分も苦々しい日々を過ごしています」と書いてありますけれども、でも一緒に子どもたちと食事を作って食べると、やっぱり自分も笑顔に溢れていく。 それがその学校で開かれている神の国ですね。5人しかいなくても、それが神の国です。 イエスさまは仰いました――「やがてその一粒の種のような神の力が広がっていく」(***マルコ4:31〜32)。 最も広がってほしいのは、《信仰、希望、愛》ですよね。 その一粒の力が、この世界を変えていく程に変わって行ってほしい。 そのように私たちを力づけるのは、聖書のみことばがそうです。
3)(ローマ人への手紙)15章の4節をちょっと映しますね。
【画面:ローマ15章4節全文と5節「忍耐と励ましの神が」に黄色のハイライト。5節「互いに同じ思いを抱かせてくださいますように」にグレーのハイライト】 <ローマ15:4〜5> 4かつて書かれたものはすべて、私たちを教えるために書かれました。(***聖書は私たちを教えるためにある、と説明)。それは、聖書が与える忍耐と励ましによって、私たちが希望を持ち続けるためです。 5どうか、忍耐と励ましの神があなたがたに、キリスト・イエスにふさわしく、互いに同じ思いを抱かせてくださいますように。
これ読みますとね、聖書は教えているだけじゃないですよ。 聖書は忍耐と励ましを与えるんですよ。 神の言葉は、私たちが希望を持ち続ける力となる。 のみならず、神ご自身がそもそも忍耐と励ましの神である、という風に記されています。
私たちが今年元旦に開いた聖句の一箇節というのは、あのヨセフ物語のヤコブの言葉でありました。 今もう既にMさんが、来年のみことばを書にしていてくださいます。 私たちは、次の年へと踏み出だして行きます。私たちの日常は変わらないかも知れない。でも、ここでもう一度踏み止まって、 《聖書の御言葉は私たちに忍耐と励ましを与える。神は忍耐と励ましの神である。 従って、聖書に親しみ、聖書を読み、聖書の言葉を握り、そして来年へと向かう私たちは、希望を持ち続ける》 ということを、覚えておいていただきたいと思います。
もう一箇所聖書を見ていただきたいと思います。(今日の聖書箇所の)最後ですね。 ローマ15章6節にこうありますでしょう。 【画面:ローマ15章5節「互いに同じ思いを抱かせてくださいますように」にグレーのハイライト。6節、特に印なし】 <ローマ15:6> 6そうして、あなたがたが心を一つにし、声を合わせて、私たちの主イエス・キリストの父である神をほめたたえますように。
注目したかったのは、「あなたがたが心を一つにし」 この表現というのは、その前の文章では、 「互いに同じ思いを抱かせてくださいますように」っていうようになっています。 これ祈りですね。 神さまは私たちに同じ思いを抱かせてくださいますように。 申し上げましたように、希望の中には個人的なものがあります。人に伝えてないものもあります。 しかし希望の中には、皆さんで共に祈っている希望もあります。 私たちがみことばに聞き、忍耐と励ましの神に祈る時に、私たちの様々な願いが一つと組み合わされていく――同じ思いを抱かせてくださいますように。 そうしてあなたがたが、心を一つにして、声を合わせて、神をほめたたえますように、という日がやって来る。
それは必ずしも、コロナを完全に克服する日ではないかもしれません。 でもそれは、皆さんに力が与えられ、励まされ、教会でまた顔と顔を合わせる日なんでしょうし、 オンラインをもっと力づけてくださり、オンライン上でも交わりを一つにする、思いが一つになる場面を、神さまは新しい年に創り出してくださると思うんです。
私たちは様々な願いを持っています。 たとえばHさんは、ウクライナの人々を励ましたいという思いから、神さまはウクライナの人と繋いでくださいました。 やがてHさんはその重荷を教会の中に持って来てくださり、私たちも共有し、思いを一つにして、ウクライナのためにこういう方法で支援し、こういう方法で祈ろうという風に繋がりました。 繋がってないと、「ああ、そういう出来事が教会にあるのかぁ」で、あと、みんなバラバラですね。 私(藤本牧師)ね、どんなにオンライン上で高津教会家族がおられても、バラバラになってほしくはない。
ま、本当ですと、(旧姓)Sさん、YさんのIちゃんの成長の姿もここに来て見せてあげたいですね。 K君のところのKくんも見せてあげたいですね。 でも、これ不特定多数に配信されていますので(笑)、なかなかできない。 でもある方が仰ってましたね。 「洗礼の時にその方を映してくださったり、子ども祝福式の時に子どもたちの顔を見せてくださったりすると――次に行く時が半年後になるのか、数年後になるのかもしれない――でもその時に、改めてその顔を確認できる。 そして、神さまの恵みがその人を生かしてくださったことを確認できる」というのが、たとえば「天の窓」じゃないですか! 「天の窓」で見ますとね、この子こんなに大きくなったんだと、(驚いたりしますね)。 あれはもう、会員限定の会報誌ですよね。 ぜひオンラインで加わっておられる教会家族の皆さん、献金をお送りいただいていることを大変感謝いたします。 時に葉書一本くださって、ご住所をお知らせいただけますと、私たちは「天の窓」をお送りすることができますので、ぜひよろしくお願いいたします。 名前の分からない方々から献金を送ってくださることは大変な恵みです。 でも同時に、私たちのことをもっと知っていただきたい、という願いも私たちの内側にはあります。
そのようにして互いに祈ることで一つとなる。 望みを絶やさず持ち続けるだけでなくして、忍耐と励ましの神は、同じ希望を私たちの内側に宿し、それをもって私たちは心を一つにして、神を賛美することができるようになる。 皆さんのどんな願い――色んな願いがあると思いますが――希望のために互いに祈り、互いのために祈る内に願いが一つとなっていく、という話をして終わりにいたします。
クリスマスですから、「クリスマスの人形の願い」という絵本があるんですね。 私(藤本牧師)、昨日Amazonで調べましたら絶版なのでしょう、4500円もしていましたから、この絵本で4500円はないなぁと思いましたから、もしお手元にありましたら、改めて読んでいただきたいと思います。
おもちゃ屋さんで売っている人形のホリー、親のいないアイビーという女の子、子どもがいないジョーンズ夫妻。そしておもちゃ屋の従業員のピーターの視点から、この登場人物が描かれています。
おもちゃ屋さんに並べられているホリーには、強烈な願いがあります。 それは次から次に他の人形が売れていく中、自分だけが売れない。 何とか自分を買ってくれる、自分をお友だちにしてくれる友だち、子どもが現れることを願っています。
親のいないアイビーは、おもちゃ屋さんのショーウィンドーを眺めながら、クリスマスツリーが飾ってあるのを見ながら、 自分もお父さんお母さんに出会い、そして共にクリスマスを祝いたい、という願いがあるんですよね。 それらの願いというのは、言葉に出されて交わされているわけではないんですね。
同じように、おもちゃ屋さんの前を通るジョーンズ夫妻は、一緒にクリスマスを祝うことができる女の子が欲しい、という風に望んでいるわけですよね。 最初はそれぞれの人物が何の縁もなくバラバラに登場します。 そして物語の進行と共に少しずつ互いの距離が縮まり、 そして運命に導かれるように、段々と互いの糸が太く強く絡み合っていくという、 そしてジョーンズ夫妻とアイビーちゃんと、人形のホリーが一つとなってクリスマスを祝う日がやって来るんですよね。
実は聖書はそういう風に描かれている。 いきなりルカの福音書で、ザカリヤという祭司が出て来ます。 次にエリサベツという奥さんが出て来ます。 そしてマリアが出て来て、ヨセフが出て来て、羊飼いが出て来て、それからシメオンが出て来て、アンナが出て来て、そして東方の博士がマタイの福音書になると出て来ますでしょう。 これ全然関係ないんですよ。何の関わりもない。 ただ救い主を待ち望むという願いをもって、神さまが不思議な糸を、強〜く、太〜くして、惹きつけて、クリスマスの物語っていうのは存在しているんですよね。
私たちの教会もそうで、ここにいらっしゃる方々と、ここにいらっしゃらない方々、また遠く離れておられる方々、また教会を捜しておられる方々、色んな方々の内側に強い望みがある。 祈ってほしいと思ったら、ぜひお手紙をください、私(藤本牧師)宛に。 ここで紹介しなくても、私だけで一生懸命お祈りします。 中には、ぜひ祈祷会で分かち合って一緒に祈ってください、という祈りもありますでしょう。 そういう願いを私たちが共有していくと、それは場所がどこであれ、皆さんがどういうお立場であれ、私たちは一つの家族になって、 2023年へと希望の民となって生き抜いていくんだ、というその力強い信仰、思いを、私たちの内側にいただきたいと思います。
☆お祈りをして終わりにいたします――藤本牧師
恵み深い天の父なる神さま、確かにクリスマスの物語を見ますと、何の関係もないと思われる様々な登場人物が、皆イエス・キリストのもとにやって来て、神の偉大な救いにあずかるのみならず、初期キリスト教会を形成していく程の大きな大きな力となっていくことがよく分かります。
私たちは今はバラバラかも知れません。しかし様々な必要や願いを共有しています。時にそれが祈りとなります。みことばの約束が、そして「忍耐と励ましの神」が、《私たちの内側に希望を与えてくださる》のみならず、その希望を祈って行く時、願って行く時、《不思議にあなたが糸を繋ぎ合わせて、私たちを一つにしてくださる》というこの信仰をしっかり持って、様々な課題を乗り越えていきますので、2023年も私たちと共にいてください。愛するイエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン。
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